従来の治療法に加え、
先進獣医療である再生医療・遺伝子検査と
新たな治療選択肢として提案しています。
当院には様々な病気を持った伴侶動物とその御家族様がおみえになります。病気の種類や重症度によって、そして御家族のお気持ちやお考えによって、その御家族ごとに治療の選択があるのが自然な姿です。
当院では遺伝子検査のための遺伝子検査室とともに再生医療(間葉系幹細胞と活性化リンパ球療法等)の為の細胞培養室を備えております。高度な検査を院内で行い、細胞調整も院内で行い、目の行き届く速やかな治療を目指しています。
再生医療
如何なる場合でも、正しい診断を得て、そして効果が実証されている既存の治療法のオプション(選択肢)を提示し、それぞれに関して予想される予後(その病気がたどる経過と結末に関する獣医学上の見通し)も説明いたします。その上で、動物とご家族にもっとも適切な治療法を選択して頂きます。また、難治性の(治りにくい)疾患でもわれわれはあきらめず、出来る限りのケアー、看護、そして日々の生活の質を向上させるための治療もご提案致します。既存の治療法で十分効果が見られない場合、あるいは治療の副作用に悩む場合、代替療法の選択肢としては間葉系幹細胞による幹細胞療法、自己のリンパ球を用いた免疫細胞療法のような再生医学の治療法もご提案する場合があります。これらの治療法による効果に関しては医学的証拠がいまだ十分に検証されてはいませんが、安全性は確保され、海外からの効果報告が出始めている状態です。これらの治療法は完成したものではありませんが、経験的にQOL(Quality of life:生活の質)の向上が認められています。
幹細胞は身体の様々な器官をつくる元になっている細胞です。この細胞が身体の傷ついた場所に移動して修復を促すこと、あるいは体内で様々なサイトカイン(細胞間の連絡を取るための蛋白)のような物質を生産して、治療を促進すると考えられています。もともと骨髄の中と脂肪の中にいる細胞ですので、副作用もほとんど報告は無く、さらに未熟な幹細胞であるため、健康な他の動物から採取した幹細胞を注入しても拒絶反応は起こりません。この細胞の性質を上手に利用して身体の損傷部位を修復し、あるいは難治性の炎症性疾患、慢性疾患などの治療を目指します。
自己のリンパ球を採血によって採取し、一定期間培養、活性化します。活性化されたリンパ球を点滴で身体に戻す方法で、体内のリンパ球数が増加して身体が元気になります。大きな腫瘍や進行性のがんを消滅させるような強い効果があるものではありませんが、腫瘍の切除後の再発防止や生存期間、無病期間の延長には一定の効果が知られています。効果がみられる腫瘍とみられない腫瘍がありますので、まず正しい診断が重要です。
治療を受けた伴侶動物達です。
【再生医療のストーリー:伴侶動物とそのご家族のために】
こんにちは。
写真はトイプードル、アルマです.(正式名称はアルジャンマメノベルトリュフブランシュ長いです・・)16歳も半ばをすぎつつあります。先日歯根膿瘍の手術を受けましたら右目の下の炎症のあったところから黒い被毛が映えてきました。8年前に免疫介在性溶血性貧血という難しい病気になりました。そのときは何頭もの輸血のドナーのわんちゃん達にお世話になり、(聴導犬さんにもお世話になりました。)免疫抑制剤治療の他に「他家間葉系幹細胞」の投与を行いました。そのためかどうかはわかりませんし、この領域にはまだエビデンスはありませんが、それから8年:犬の人換算年数として約40年の犬生を今なお,生きてくれています。うちの子なので、本当に感謝です。このときの経験を踏まえて獣医再生医療学会での報告、免疫介在性の疾患、炎症性腸疾患,椎間板ヘルニア,慢性腎臓病などへの再生医療の応用治療、研究も継続努力しています。現在は日本大学獣医外科研究室の枝村一弥先生に師事し、伴侶動物の再生医療の探求のため大学院研究生として学んでおります。これからもより良い結果が少しでも多くの伴侶動物とそのご家族にお渡しできますようにと願っております。
遺伝子検査
院内には遺伝子検査室(PCR検査:polymerasechain reaction)が設置されています。通常は研究機関の中で行われる検査や手技ですが、完全に密閉された室内で特別にトレーニングを受けた獣医師およびテクニシャンが操作を行います。PCRは診断の難しいウィルス疾患などの時に活用されます。ごくわずかな遺伝子を増幅させて感度を上げそれを検出(みつける)する事で診断に結びつけます。主に現在はFIP(猫伝染性腹膜炎)の診断の一助に使用されています。その他にも様々な可能性を持った検査です。
狂犬病やフィラリア、感染症のワクチンなど各種予防薬をご用意してございます。安心して人や動物と触れ合うためにも適切なアドバイスをさせていただいております。
輸血準備室
院内にはいざという時のために輸血準備室で貯蔵用の血液が準備されています。専用の遠心機、フリーザーなどが設置されており、様々な状況に合わせた輸血に対応しています。
伴侶動物医療の世界では人間のような血液バンクのシステムが成立していません。年間を通して病気や怪我などで輸血を必要とする動物がいます。血液は人工的には作れない命を保つために欠かせない重要な細胞です。輸血の為に健康なドナー(供血犬、猫)からの定期的な供給が必要です。どうぞ、御協力をお願い致します。 1歳から7歳までの健康な犬と猫にドナーをお願いしております。御登録頂いた方には、定期的な血液検査と身体検査をさせて頂き、結果が適応であれば、血液ドナーとしての採血をさせて頂きます。(その場合は検診と血液検査はプレゼントさせて頂きます)詳細はスタッフにお尋ね下さい。多くの重症患者さんが貴重な血液を待っています。